こんにちは、とのさき司法書士事務所の外崎です。
相続登記の義務化が始まり、「そろそろ手続きをしないと…」と思っても、
「相続人のうち1人と連絡が取れないんです…」
というご相談、実はかなり多いです。
こうしたケースでも、当事務所では、多くの場合、戸籍や住民票の調査などを通じて相続人の所在を特定し、登記完了まで対応できています。
今回は、相続人の一部と連絡が取れない場合に、相続登記をどう進めるかについて、現実的な対応策をお伝えします。
連絡が取れない…どういう状態を想定してる?
- 引っ越して住所がわからない(戸籍には載っている)
- 電話も手紙も返事がない
- 意図的に話し合いを避けている
- 何十年も会っていない親戚
- そもそも生きているかどうかも不明
これらはすべて、「遺産分割協議が進められない」状態になります。
放っておいてもいい? → 義務化で放置はNGに
2024年4月から相続登記は義務化されました。
相続があったことを知ってから3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続人全員の協力が得られないからといって、何もしないままでいると法的リスクも出てきます。
連絡が取れないとき、どうすればいい?
① 法定相続分で単独登記できることも
連絡が取れる相続人が、他の相続人の同意がなくても、法定相続分どおりに全員分の名義を登記することも可能です(いわゆる法定相続分による登記)。
ただし、申請人となっていない相続人には登記識別情報が通知されませんので、その後の売却や手続きの際に注意が必要です。
② 家庭裁判所に「不在者財産管理人」を申立てる
相続人が失踪している・長期間行方不明という場合には、家庭裁判所に申し立てて、その人の代わりに協議や登記に関わる管理人を立てることができます。
この「不在者財産管理人」が遺産分割協議に参加することで、全体の手続きを進められる場合があります。
③ 相手が協議に応じない場合でも代償分割の提案は可能
「話には出てくるけど、ハンコを押してくれない」というケースでは、代償金(現金の支払い)などの条件を明示して交渉するのが有効です。
当事務所では、依頼者の立場に寄り添いながら、相手と揉めずに合意形成を目指す方法をご提案しています。
④ 「相続人申告登記」でとりあえず登記を済ませる手も
2024年から始まった制度に「相続人申告登記」という新しい登記方法があります。
これは、「自分が法定相続人です」ということを法務局に申告しておく登記です。
- 遺産分割が決まっていなくても申請できる
- 無料(登録免許税ゼロ)
- 義務化への対処として、最低限の一歩を踏み出せる
ただし、名義変更が完了するわけではないので、不動産の売却などはできません。
まとめ:連絡が取れなくても、登記を諦めないで
- 連絡が取れない相続人がいても、登記の方法はあります
- 状況に応じて、法定相続分登記や家庭裁判所の申立などで対応可能
- 相続人申告登記で義務化リスクを最小限にする選択肢もある
- 住所調査や書類整備を通じて、登記完了まで進められるケースが多いです
📩 相続人と連絡がつかない・協議ができない… そんなときこそ、ぜひ当事務所にご相談ください。 法律的な対応と実務的な工夫、両面からご提案いたします。