こんにちは、とのさき司法書士事務所の外崎です。
相続登記の準備をしていると、こんな質問をよくいただきます。
「登記簿に載っている住所と、被相続人の最後の住所が違うんですが…」
「引っ越して何度も住所が変わっているので心配で…」
住所の違いがあっても、すべてのケースで追加の証明が必要になるわけではありません。
この記事では、どんなときに住所の証明が必要になり、どんなときに不要なのか、実務ベースで解説していきます。
登記簿と最後の住所が違っていても、登記ができることは多い
まず重要なのはここです。
被相続人の本籍地と、登記簿上の住所が一致していれば、たとえ最後の住所が異なっていても、追加の証明書類は不要です。
これは、相続登記において「登記簿上の住所と戸籍の本籍が一致していれば、同一人とみなされる」という実務運用によるものです。
証明が必要になるのは、こんなとき
証明が必要になるのは、本籍地と登記簿上の住所が異なる場合です。
このような場合には、住民票の除票や戸籍の附票を使って、登記簿の住所と被相続人が同一人物であることを証明します。
住民票の除票・戸籍の附票ってなに?
住民票の除票
過去の住所と氏名、生年月日が記載された住民票の記録です。
転居後や死亡後に発行されるもので、「過去に○○市に住んでいた」という事実を証明できます。
戸籍の附票
戸籍と一緒に管理されている住所の履歴です。
ただし、転籍や婚姻などによって戸籍が新しく編製されていると、附票が途切れてしまい、住所の履歴が追えなくなることがあります。
書類が廃棄されていた場合は?
除票や戸籍の附票は、保存期間(多くは5年〜10年)を過ぎると廃棄されて取得できなくなることがあります。
このようなときは、代替手段として「登記済権利証(いわゆる権利証)」を添付することで、登記簿の名義人と被相続人が同一人物であることを証明できるケースがあります。
相続登記に住所変更登記は不要です
よくある誤解に、「先に住所変更登記をしないと、相続登記ができないのでは?」というものがありますが、
相続登記では、被相続人の住所が登記簿と異なっていても、登記申請は可能です。
住所変更登記(いわゆる名変登記)は生前に行う手続きであり、亡くなった後に行うことはありません。
被相続人の住所が登記簿と違っていても、戸籍や補足書類で証明すれば相続登記は進められます。
補正の連絡が来ても慌てなくてOK
実務上、申請内容に不備があった場合には、「登記が却下される」のではなく、法務局から補正(書類の追加提出など)の指示が来るのが通常です。
当事務所では、事前に登記簿や戸籍を丁寧に確認し、補正が入らないような書類づくりを徹底しています。
とのさき司法書士事務所では…
当事務所では、以下のような不安にもしっかり対応しています:
- 登記簿と住所が違っているけど大丈夫?というご相談
- 附票や除票が取得できない場合の代替手段の検討
- 書類不備への事前チェックと、柔軟な提案
「これは大丈夫なんやろか?」と感じたら、まずは一度おたずねください。
まとめ
- 被相続人の本籍と登記簿の住所が一致していれば、追加書類は不要
- 本籍地と登記簿の住所が異なる場合は、除票や附票で証明
- 附票や除票が取得できない場合は、登記済権利証が有効な代替手段となることも
- 相続登記に住所変更登記(名変)は不要
- 不備があると補正はあるが、訂正して登記を進めることは可能